こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。
下がるようで下がらないドル円…
海外在住者や海外投資をしている人でなくとも為替動向は関心事。2025年に入りドル円相場は、日銀による利上げ観測の高まりや、米国トランプ政権による関税政策の不透明感などを受けた米長期金利の低下を背景に、円高・ドル安へ進展してはおり、ドル円相場は年初の1ドル=158円台から143円台まで円高・ドル安が進展しました。しかし、ここにきて状況は一転。足元では円安により戻されてきており、8月1日の東京市場で遂に1ドル=150円を突破する事態に。その後に発表された7月の米国雇用統計の結果が市場予想を下回る内容であったため、4日朝の東京外国為替市場では円相場が上昇し、当コラム執筆時点では1ドル=147円台で推移しているものの、このまま一方的に円高が進むとの声は多くないようです。
「円売り呼んだ植田総裁2度目の「失言」 1ドル150円、広がる先安観」(日本経済新聞 2025年8月1日)
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HASEKENhk.comアーカイブ(「ドル円150円時代」‐2022年11月1日掲載)
このような状況を受け、今回は当社CEO長谷川建一の公式サイト HASEKENhk.com 内「お金の学校」に2022年11月1日に掲載された記事を再配信します。三年ほど前の内容ですが、十分ご参考にしていただけるのではないでしょうか?
ついに1ドル=150円を超える円安に
10月20日、外国為替市場では、ドル円為替レートが1ドル=150円台にのせました。翌日も、ニューヨーク市場でドル上昇は続き、151円90銭までつけると、日本政府がドル売り介入を実施しました。そのため、ドル円は反落、一気に145円台まで下落しました。日本円は、全通貨の中でも、米ドルに対して下落幅が大きく、年初来では115円06銭から148円65銭と27%も下落しています。
なぜ、これほどの円安が続くのでしょうか?ドル円でドル高円安が進む背景には、構造的な問題があるからです。米国経済指標は堅調であり、米FRBが大幅な利上げを継続する見通しが強まる一方、成長戦略を描けていない日本経済の先行きは見通せず、日銀の金融政策は緩和状態を維持せざるを得ないとの見方が変わらないからです。そして、日米金利差が拡大する方向感が鮮明である以上、市場参加者は、米ドル買いを進めやすいのです。また、主要通貨間では、米国経済の安定感と欧州の地政学的リスクへの不安感から、米ドルが世界の主要通貨に対して続伸していることも、ドルを買う安心感に一役買っています。
日本政府は、為替市場でドル売り介入を単独で大量に実施していますが、介入の効果は、一時的であると市場参加者は見ています。これは、上述のとおり構造的な問題だからです。日本政府単独では、為替介入したとしても円安の流れを阻むことはできないでしょう。筆者は、今年年末までに、1ドル=150円をターゲットと言ってきましたが、10月時点で達成してしまいました。しかも、今回のドル高円安のクライマックスは、まだ先のようです。
引き続きドル円は再度150円台の上値を試す展開が予想されます。中長期には、170円や200円などといった水準までの円安を予想する声も出ています。不測の事態に備えて、円資産だけではなく、ドルなどの外貨資産を持ち、「分散投資」を着実に進めていくことが重要です。円安の進行は、行動を起こしてきた人と行動しなかった人の格差を大きくしました。是非、「分散投資」による「資産防衛」を真剣に考えて、行動を起こしてください。