こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。
以下の内容は、特定商品の販売や、購入への勧誘を意図したものではありません。日本非居住者に対し、国外における資産運用の一般的な情報を提供することのみを目的としています。
深センから香港へのマルチビザ再開
深セン市は12月1日、香港への「単一ビザ複数回渡航(マルチビザ)」制度を再開しました。2日付香港各紙によると、マルチビザは深セン市の登録住民に加え、現地居住許可を保有する非登録住民も許可申請後、1年間無制限に香港を訪問できるとのこと。香港地元紙記者の現場レポートによると、1日朝には多くの深セン住民が自動登録機センターに殺到したものの、手続き全体にかかった時間はわずか10分程度と大変スムーズで、陳茂波・財政長官は「今回の措置により深セン住民の香港訪問がより便利かつ時間的に柔軟になり、香港の観光、小売り、飲食などの産業が支援され、経済的、文化的緊密化も実現できる」と、香港経済への好影響に自信を示しました。
コロナ時には実質的に閉鎖状態となった香港ですが、2022年12月29日に海外から香港への入境者に義務付けていた新型コロナウィルスのPCR検査を撤廃したことによって事実上出入境が自由化されました。このことは対面募集が中心だった保険業界にとって非常に大きく、香港域外に住んでいる人が香港に来て保険契約をすることが再びできるようになったことに伴って保険会社の業績も回復に向かっていきました。今回の深セン市の動きが業界にとって更なる追い風となることは間違いありません。
その一方で、コロナ禍で始まった一部商品における非対面募集を利用する人も増加の一途をたどっています。一部の国や地域の居住者に対して認められている「加入希望者が信託を設立して信託が名義人となって保険に加入し、希望者は監督人として契約を管理する」というこの方法は、要は香港に渡航することなく保険商品に加入することができることで(*1)、ここ最近の当社の例を見てみても、タイ、インドネシア、アメリカと、香港域外から書類郵送によるお申し込みでした。
信託を利用した保険加入の手順
では、この方法による申し込みの手順はどのようなものなのでしょう。以下に一般的な手順を紹介します:
- エージェント/ブローカーがお客様のニーズをヒアリング → 商品の選定
- 申込商品が決定
- エージェント/ブローカーのアシストにより、お客様=被保険者(Client)が監督人(Settlor)として信託(Trust)を設立。
- お客様と信託の受託者(Trustee)が信託設立合意書(Trust Agreement Form)に署名
- 受託者がお客様に代わって名義人(Policy Owner)として保険契約を申込
- 受託者によって作成及び署名された「顧客財務分析表(Financial Needs Analysis)」や保険契約の申込書類を、お客様が認証。
- お客様によって認証された「顧客財務分析表(Financial Needs Analysis)」や保険契約の申込書類をブローカーが保険会社に提出
- 保険会社によって申し込みが了承された場合、保険会社が証券(Policy)を発行
保険契約を所有せずに支配する
上記の方法では、お客様は信託契約を結ぶのであって、保険に加入するわけではなく、あくまで保険契約の名義人は信託/受託者ですが、お客様は監督人=実質的支配者になりますので、「所有せずに支配する」ことになるわけですから、保険資産の一部取り崩しや払込の停止といった手続きはお客様の意のままですし、一定の期間を置いた後は名義人を受託者からお客様に変更することも可能です(*2)
長期的かつ安定的な資産運用では、投資を早く始めることが重要
香港の保険商品ですから、もちろん香港内で加入手続きができるに越したことはありません。信託スキームを利用するよりは書類の量も少なく、手続きもシンプルですし、何より香港という場所をその目で見ていただくことができますので、日帰りでも香港に来れるのであれば来ていただくことをお勧めします。とは言え、渡航には時間もお金も掛かりますし、長期的かつ安定的な資産運用では、投資を早く始めることが何よりも重要なわけですから、「香港の保険に入りたいんだけど、当面香港に行く予定は無いな~」という方でしたら、この信託を活用したスキームは一考に値するのではないでしょうか。
(*1) 保険会社によって同スキームの利用が認められる居住国や商品が特定されており、保険会社によっては同スキーム自体を導入していないところもあります。
(*2) 保険会社によってルールが異なります。