こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。

以下の内容は、特定商品の販売や、購入への勧誘を意図したものではありません。日本非居住者に対し、国外における資産運用の一般的な情報を提供することのみを目的としています。

2025年7月7日、香港富豪のリチャード・リー(李澤楷)氏が率いる泛アジア系生命保険大手、FWD Holdings(富衛集團:証券コード1828.HK)が、4度目の挑戦の末に香港取引所(HKEX)メインボードへの悲願の上場を果たしました。それからちょうど1年。かつて「市況が悪い中での強気の上場」とも囁かれた同社は、上場企業としてどのような1年目を送り、現在どのような舵取りを行っているのでしょうか。

上場初年度(2025年12月期)決算は過去最高の「純利益6倍」

2026年3月に発表された、上場後初となる2025年12月期の通期決算において、FWDは市場の懸念を払拭する力強い数字を叩き出しました。

  • 年間新契約保険料(APE): 前年比25%増の24億4,600万米ドル
  • 税後営業利益(OPAT): 前年比5%増の4億9,900万米ドル
  • 純利益(Net Profit): 前年(IFRS17号基準)の6倍となる1億6,600万米ドル(2年連続で過去最高を更新)
  • グループ内涵価値(EV): 前年比19%増の68.5億米ドル

2026 1Q new business highlights

https://www.fwd.com/en/investors/

長年の課題であった「度重なる買収による負債負担と収益の不安定さ」に対し、上場によって資本基盤が強化(償付能力比率は265%と非常に高水準を維持)されたことで、本業の収益力が一気に開花した形です。

成長を牽引する「香港・マカオ市場」と高層顧客へのアプローチ

FWDの強みは、アジア10ヶ国にまたがる多角的なポートフォリオですが、この1年で最も際立った成長を見せたのが、お膝元である「香港・マカオ」市場です。 同エリアにおける2025年のAPE(年化新保費)は、前年比51%増という驚異的な伸びを記録しました。コロナ禍以降の中国本土からの越境顧客(MCV)需要を確実に捉えたことに加え、富裕層向けブランド「FWD Private」の展開が成功し、高価格帯の資産形成・保障ニーズを吸収しています。

また、直近の2026年第1四半期(1〜3月期)決算でも、アジア全体の新契約売上(APE)は前年同期比4%増の7億2,000万米ドルと堅調に推移しており、日本市場におけるリタイアメント・貯蓄型商品への戦略的シフトや、東南アジア(インドネシア・マレーシア等)での銀行窓販・代理店チャネルの拡大が功を奏しています。

資本市場での「スピード出世」と株主層の広がり

IPO当時のFWDは、中東のアブダビ主権基金(Mubadala Capital)や日本のT&Dホールディングスといった質の高い基石投資家(コーナーストーン投資家)を呼び込んだことで話題となりましたが、上場後も資本市場での存在感を急速に高めています。

  • 2025年12月: 上場からわずか5ヶ月で「ハンセン総合指数(Hang Seng Composite Index)」に採択。同時に、中国本土の投資家が香港株を直接売買できる「サウスバウンド・ストックコネクト(港股通)」の対象銘柄に指定されました。
  • 2026年2月: 国際的な株価指数である「MSCI香港小型株指数」にも組み入れられました。

これにより、インデックスファンドをはじめとする機関投資家や、中国本土からの個人資金が流入しやすい環境が整い、上場企業としての流動性と信頼性は一段と向上しています。

今後の展望とリスク:アジアの中産階級とともに歩む道

1周年を迎えたFWDの視線は、すでに次の10年へ向いています。同社が2026年2月に発表した消費者調査によると、アジアの中産階級の多くが将来の財務状況やリタイアメント準備に不安を抱えていることが分かっています。CEOの黄清風(ハルマン・カン)氏は、「短期的には地域経済の変動があるものの、アジアの中産階級の拡大という長期トレンドに対する信頼は揺るがない」と述べており、デジタル技術を駆使した「わかりやすい保険」を武器に、現役世代の資産形成ニーズをさらに開拓する方針です。

一方で、タイ市場における低金利環境の継続や、アジア各国の税制・規制変更への柔軟な対応など、マクロ経済由来のリスクは依然として残ります。

1年前、「悲願」と言われたIPOを達成したFWD Holdingsは、この1年で単なる「成長期待株」から「確実に利益を出す優良上場企業」へと脱皮を遂げました。香港をはじめとする主要金融ハブの底堅い需要と、東南アジアの圧倒的な人口動態を背景に、同社が「アジアの保険市場を変革する」というビジョンをどう具現化していくのか、2年目の航海からも目が離せません。

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