こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。

本当に米ドル高・円安は終わったのか?

海外在住者や海外投資をしている人でなくとも為替動向は関心事。米ドル/円は、2023年12月に140円まで下落した後、1月に入ってから148.8円まで上昇しましたが、1月31日には146円割れ近くまで反落。「米ドル高・円安はもう終わったのではないか」との声が広がりつつあります。

しかしここにきて、「米金利上昇」「日米金利格差」とは別の円安要因として浮上してきたのが「新NISA」。日経新聞の記事によると、新NISAによって単月貿易赤字の8割に相当する月間3250億円の円売り・外貨買い需要が発生するとのことで、海外投資家も新NISAの動向に注目せざるを得なくなっているようです。

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新しい少額投資非課税制度(NISA)を通じた個人の海外投資が新たな円安圧力になるとの見方が外国為替市場で出てきた。新NISAのもと、個人が毎月3000億円超を株式など海外資産に投じるとの試算がある。円を外貨に替える需要が発生し、円相場を押し下げる方向に働く。特に積み立て投資が多い月の前半に円が弱含む場面が増えそうだ。

「新NISAは海外投資家の間ではもはや知らない人がいないというレベル。特に円売り・ドル買いの規模に関心を寄せる投資家が多く、日本の貿易赤字と比較する人が目立つ」。ある外資系証券の関係者はこう明かす。

日本経済新聞(2月2日) 「円安呼ぶ新NISA 個人の海外投資「月3250億円外貨需要」」

HASEKENhk.comアーカイブ(「ドル円150円時代」‐2022年11月1日掲載)

このような状況を受け、今回は当社CEO長谷川建一の公式サイト HASEKENhk.com 内「お金の学校」に2022年11月1日に掲載された記事を再配信します。一年以上前の内容ですが、十分ご参考にしていただけるのではないでしょうか?

ついに1ドル=150円を超える円安に

10月20日、外国為替市場では、ドル円為替レートが1ドル=150円台にのせました。翌日も、ニューヨーク市場でドル上昇は続き、151円90銭までつけると、日本政府がドル売り介入を実施しました。そのため、ドル円は反落、一気に145円台まで下落しました。日本円は、全通貨の中でも、米ドルに対して下落幅が大きく、年初来では115円06銭から148円65銭と27%も下落しています。

なぜ、これほどの円安が続くのでしょうか?ドル円でドル高円安が進む背景には、構造的な問題があるからです。米国経済指標は堅調であり、米FRBが大幅な利上げを継続する見通しが強まる一方、成長戦略を描けていない日本経済の先行きは見通せず、日銀の金融政策は緩和状態を維持せざるを得ないとの見方が変わらないからです。そして、日米金利差が拡大する方向感が鮮明である以上、市場参加者は、米ドル買いを進めやすいのです。また、主要通貨間では、米国経済の安定感と欧州の地政学的リスクへの不安感から、米ドルが世界の主要通貨に対して続伸していることも、ドルを買う安心感に一役買っています。

日本政府は、為替市場でドル売り介入を単独で大量に実施していますが、介入の効果は、一時的であると市場参加者は見ています。これは、上述のとおり構造的な問題だからです。日本政府単独では、為替介入したとしても円安の流れを阻むことはできないでしょう。筆者は、今年年末までに、1ドル=150円をターゲットと言ってきましたが、10月時点で達成してしまいました。しかも、今回のドル高円安のクライマックスは、まだ先のようです。

引き続きドル円は再度150円台の上値を試す展開が予想されます。中長期には、170円や200円などといった水準までの円安を予想する声も出ています。不測の事態に備えて、円資産だけではなく、ドルなどの外貨資産を持ち、「分散投資」を着実に進めていくことが重要です。円安の進行は、行動を起こしてきた人と行動しなかった人の格差を大きくしました。是非、「分散投資」による「資産防衛」を真剣に考えて、行動を起こしてください。

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