こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。

以下の内容は、特定商品の販売や、購入への勧誘を意図したものではありません。日本非居住者に対し、国外における資産運用の一般的な情報を提供することのみを目的としています。

日本人が香港の保険に加入できるのは日本非居住者である間だけ

以前のコラムで、「再び海外在住者になるので、もう一つ香港の保険を契約したい」と問い合わせてきたDさんのケースを紹介しました。

Dさんは契約した保険商品に大変満足していて、追加投資を検討していたのですが、契約締結後に日本に帰国してしまったため、追加投資を諦めていました。しかし、お仕事の都合で再び海外居住者になることが決まったので当社に追加投資のご相談をされてきたわけです。

このように、既契約者や海外投資について積極的に情報を収集している人達の間では、日本居住者が海外の保険を購入することは基本的に脱法行為というのは云わば常識なのですが、日本に住んでいる大半の人にとっては全く馴染みのない話でしょうから、日本居住者が海外の保険を購入してはいけないことの根拠とされている日本の法律「保険業法第186条」を改めてご紹介します。

保険業法第186条

第186条(日本に支店等を設けない外国保険業者等)

第1項 日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ。)を締結してはならない。ただし、同項の許可に係る保険契約については、この限りでない。

第2項 日本に支店等を設けない外国保険業者に対して日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、当該申込みを行う時までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

第1項と第2項とでは、対象者が違う

第1項で対象とされているのは日本で無認可の外国保険業者で、日本国内での保険契約締結禁止が定められています。逆説的ですが、日本国外で活動する保険業者にまでこの禁止命令を適用することはできません、日本の法律なので当然と言えば当然ですが。ということで、香港の保険会社が香港の法律に従って合法的に(日本居住者であろうが)日本人と保険契約を締結したとしても、日本国は、保険業法違反としてこれらの保険会社(保険代理店)を処罰することはできません。

次に、第2項を見てみましょう。第2項は保険加入者に対して、日本国内で認可されていない保険に加入する場合は事前に内閣総理大臣から許可をもらうよう定めています。例えば、日本居住者が日本で未登録の香港の保険会社が販売する商品に加入しようとする場合、まず最初に日本国総理宛てに許可申請を出さなければならないということで、当社の知る限り事例はありません。非現実的ということですね。なお、「海外(現地に)渡航すれば加入はOK?」という質問に対する回答は「No」。単に渡航しただけでは海外旅行者であって、日本居住者であることには変わりありませんから、たとえ保険契約を締結したのが海外だったとしても、これは脱法行為なのです。

違反すると…

ではもう少し踏み込んだ話を。仮に違反してしまったら当然罰を受けることになります。

  • 第1項を違反すると「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(第316条)
  • 第2項を違反すると「50万円以下の過料に処する。」(第337条)

海外の生命保険会社が日本国内で無許可営業をすることを禁じるために制定された法律ということは、穿った見方をすれば国内生保に対する過保護政策で、日本国民の利益に適っているか疑問に思う人もいるかも知れません。とはいえ法は法です。正しく理解して行動するようにしなければなりません。

香港には魅力的な資産運用ツールが沢山あるわけですが、保険に加入できるのは海外居住者である間だけ。海外居住者の皆さんはこの特権を活かさない手はありません!

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