こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。
以下の内容は、特定商品の販売や、購入への勧誘を意図したものではありません。日本非居住者に対し、国外における資産運用の一般的な情報を提供することのみを目的としています。
政治に対する不安は払しょくされず…
既に報道で目にした人も多いと思いますが、去る11月19日、香港高等法院(高裁)は2020年の香港立法会(議会)選挙に向け非公式の「予備選」を実施した民主派活動家が起訴された事件の公判で、有罪とした被告45人に最高10年の禁錮刑を言い渡しました。米国では来年1月20日に第二次トランプ政権が始動しますが、国務長官には対中強硬派で、以前から同裁判について、民主派の有罪判決は国安法が「香港の自治、法の支配、基本的自由に対する広範な攻撃」である証拠だと批判を繰り返してきたマルコ・ルビオ氏の就任が内定していて、香港を絡めた米中間の一層の緊迫化が懸念されています。
それでも多くの国際金融機関が事業拡大計画
自分が保険契約者であれば、この手の報道を目にすると「自分の契約は、資産は大丈夫なのか?」となるでしょう。政治だけでなく経済についても中国の先行きを不安視するようなニュースを目にするわけですから当然です。しかし、香港の(金融)業界を取り巻く環境は皆さんが受ける印象ほど悪くはないかも知れません。以前に当コラムで紹介した、二つのランキングで香港が首位に着いたというのも一例ですね。
参考になるか分かりませんが(笑)、政府関係者が最近出したコメントもいくつか紹介しましょう。まずは陳茂波・香港財政長官。長官は11月24日に発表した談話の中で、多くの国際金融機関が香港での事業規模を拡大し、経営陣の一部を香港に移転することを計画していると指摘しました。次に香港金融管理局の余偉文・総裁。同総裁は越境理財通(ウェルス・マネジメント・コネクト)について言及し、将来的には越境理財通により、より豊富な資金でより多くの投資家をカバーできると述べました。また、香港の金融管理業界が将来、関連する資産運用商品を現地で販売することを中国本土から許可されることを望んでいるとのことです。最後に香港証券先物事務観察委員会(SFC)の梁鳳儀・最高経営責任者(CEO)で、本土における香港ファンドの販売ネットワークを拡大するための越境理財通とETF通の拡大を受けて、本土と香港の間のファンドの相互承認協定が年末までにさらに強化される可能性があることを明らかにしました。
『香港プライベートウェルスマネジメント報告書』で示された香港の現状とは
参考情報をもう一つ。プライベートウェルスマネジメント協会(PWMA)とKPMGがまとめた「香港プライベートウェルスマネジメント年次報告書」の最新版が発表されました。報告書では2023年が香港の資産運用規模(AUM)の成長と純資本の回復の転換点となることが示されていて、資金流入額は4倍に増加して資産運用規模は9兆200億ドルに達したとのこと。先述の陳長官は、資産運用業界全体が力強く発展し、昨年末までに資産管理規模は2018年比30%増の4兆米ドルに達し、最近の調査では香港が世界三大金融センターの一つとしての地位を取り戻したことが示されており、今年調達された香港のIPO資金は約700億ドルで、世界第4位にランクされていると述べています。香港の銀行預金は昨年初めから今年9月までに11%増加し、前年比で1兆7000億ドル近く増加しました。
香港の将来について何かと心配させられるような報道を目にしがちですが、必ずしも実情がそうだとは限りません。偏向報道とまでは言わないまでも、どのような内容であれ発信者のバイアスが存在することは頭の片隅に置いておいてよいでしょう。香港の保険に申し込めるのは日本非居住者である間だけ。是非検討してみてください。