こんにちは、Wells Insurance Hong Kongです。

以下の内容は、特定商品の販売や、購入への勧誘を意図したものではありません。日本非居住者に対し、国外における資産運用の一般的な情報を提供することのみを目的としています。

年月が経つにつれて契約当初の記憶は薄れるもの…

当社では日々様々なお客様からお問い合わせをいただきますが、保険商品による資産運用は中長期を視野においたものであるため、ご契約から随分と長い時間が経過している方も少なくありません。ただ、年月が経つにつれて契約当時の記憶が薄れてしまうのは当然で、中には商品内容を独自に解釈していたり、誤解していると感じるものも時折見受けられます。

先日お問い合わせをしてきたDさんもその一人。どんな内容であったかというと、自分の子供が18歳に達したので、既存の契約に共同名義人として追加したい」「子供は日本にいるが、手続きのために香港に渡航する必要があるのか?

Dさんの要望は叶うのか

結論から言うと、Dさんの要望は叶いませんでした。まず前者ですが、Dさんの契約相手先である保険会社では、そもそも全ての商品が単独名義でしか契約できません。すなわち、「共同名義」という概念が無いのです。できることがあるとしたら、名義人をDさんからお子様に変更するというもの、即ち「契約の譲渡

次に後者ですが、仮に契約の譲渡であれば、香港に渡航せずとも書類の郵送のみで可能です。但し、「譲受人が日本非居住者である」という条件が付いているため、Dさんのお子様は日本に住んでいる以上、新名義人になることはできないのです。

保険業法第186条をおさらい

当コラムでも繰り返しお伝えしてきているように、日本人が香港の保険に申し込むことができるのは日本非居住者である間だけであって、これは香港の保険会社が日本の保険業法等を鑑みてガイドラインを設定しているためであり、契約の譲渡は「新名義人が新たに保険契約を締結する」行為と保険会社が見なすため、Dさんのお子様がお父さんから契約を引き継ごうとしても保険会社が認めてくれないのです。

余談ですが、契約締結後に契約者が日本居住者になったとしても法律違反にならないことは、金融庁のHPにも明記されています。

保険業法第186条第2項に基づき、日本に支店等を設けない外国保険業者に対して、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、原則として、当該申込みを行う時までに、内閣総理大臣の許可を受ける必要がある。
 そして、その許可を申請するためには、保険約款が外国語で記載されている場合にその全部について訳文の提出が必要であり(保険業法施行規則第2条、第117条第2項第2号)、また法人が保険契約者として、その従業員を被保険者とする団体保険を締結しようとする場合には個々の従業員の氏名・住所を申請書に記載する必要がある(保険業法施行規則別紙様式第9号、第10号)。

(注)保険業法第186条第1項は「締結」を禁止しているので、保険契約の締結時に、当該保険契約の被保険者に「日本に住所若しくは居所を有する人」が存 在しなければ、締結後に被保険者が日本に転勤し、「日本に住所若しくは居所を有する人」に該当することになったとしても、保険業法第186条第1項違反にはなりません。ただし、被保険者に「日本に住所若しくは居所を有する人」がいる状態で、当該保険契約を更新する場合等においては、同条第2項の許可が必要となることもあります。

引用:令和3年2月15日 金融庁HP「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について

定期的に商品・契約内容を再確認しよう!

因みにDさんですが、当社からの説明にご納得いただけたようで、「共同名義については誤解していたため、手続きは不要です」とお返事くださいました。一安心。年月が経つにつれて契約当時の記憶が薄れてしまうのは当然ですから、数年に一度でも改めて商品・契約内容を確認するのも良いかも知れませんね。

上記の内容が香港の全ての保険会社・商品に適用されるとは限りません。担当代理店にお問い合わせください。

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